2009年07月19日

保喜ガ鼻  ほきがはな

■姫路市下手野■
対岸よりの保喜山遠景.左手前に青山八景の碑JPG  予防治山工事の立て札が見える保喜山斜面.JPG

 夢前橋の欄干を眩(まばゆ)く照らし国道二号線を西へ向かう車の列が夕陽を受けて茜色に染まる。この辺りから西の青山の峠付近へ沈む落陽の神々しさは例え用もなく明日も晴れ。
 『播磨国風土記』に品太天皇が、川で手を洗われたので手沼川と名付けられたという夢前川は『姫路市町名字考』に手野という村名はこの手沼川から起こったと記している。
 下手野の南端にある保喜ケ鼻という地名は、もともと夢前川下流域左岸に沿う山崖に付けられた地名であったが、山裾の湿地が徐々に田畑へと転換されると、明治以降この一帯を指す小字(こあざ)地名に採り上げられた。現在整備されて病院や工場用地となり、両岸の河川敷は東・西夢前台住宅地に変貌した。
 保喜ケ鼻地名の由来を探るにまず「ホキ」だが、全国に分布がみられる古い地名のようで、関東以北ではハケやハキの地名で現れ、そのほとんどが峡谷や川のそばの険しい山の急斜面の崩れやすい山腹に付けられているので、崩壊地名と見なされている。なおハケやホキは一連の同系統の語源を同じくするもので『地名用語語源辞典』は、もともと崖地の古称と記している。
 ホキに当てられる字は当地の保喜のほかに保木・法木・箒など、変わり種では赤穂市有年楢原に放亀の当て字もあって浦島伝説の世界へいざなって楽しませてくれる。またハケは波気・八景が当てられ、景色の秀麗さから○○八景もこの類にふくまれるものがある。
 つぎに鼻の解釈だが鼻は先端を表す端(はな)の当て字で、人の顔でも突き出た所を鼻というから言いえて妙と言うべきだろう。だが端も時には美しい花の字に置き換えられるのは奇岩秀峰の絶景が人の心をとらえ、それは美しい花の文字への発想転換へとつながったのかも知れない。
 山紫水明の渓谷の造形美を誇る観光のスポット四国の大歩危・小歩危峡は「歩くのも危ない」よ、との危険サインが込められたホキの当て字で痛快極まりない。


posted by 早春 at 06:59| Comment(0) | 姫路市中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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